「あの日、学内で噂の白雪の君、遠野先輩に叱責されてから、俺は誰にも体も心も反応しなくなったんですよ」
「はっ、反応って……」
そんなこと言いながら、なんか密着した黒田の体からは、発情した雄の匂いがしてるような気がするんやけど? あと、黒田の股間に硬いモノが存在してる気がするんやけど、僕の勘違い?
ズボンのポケットに、硬いモノ入れてるだけ?
「たぶん、先輩の美貌に一目惚れしてしまったんでしょうね。あれ以降、俺は必死で先輩に近づこうとしてたんですよ。似合わないのに、図書委員にまでなって」
「……記憶にない」
高校時代の僕は、次々と本を読むことに夢中で、誰かに興味を向けることなんてなくて。
本以外に目を向けた唯一が、愛猫ブランシェやった。
卒業間際に何人からか告白されてたけど、全員に対してサクッとお断りしてて……。
そやかて、僕が通ってたのは男子校で、僕はノーマルな性癖で。
「でしょうね。俺みたいな奴が、あの時期の先輩の周囲には数え切れないほどいて。近づこうとしても、先輩の同学年の奴らにことごとく邪魔されて」
「そんな話、知らん!」
なんで、僕が知らない話を、この後輩は知ってる?
「本人に気づかれなくても、周囲は必死だったようですよ?」
「よっ、余計なお世話や」
誰も、そんなこと頼んでない。
