それにしても、なんというか、意外だった。医者のくせに、こんなことまでできるなんて。ただ普通に患者を診察しているだけかと思ったから、これには驚いた。
「少し荒れてるけど、綺麗な手だね。指も細いし」
「綺麗とか言われても嬉しくない」
ところが、人がせっかくちょっとは見直してやれば、早速台無しだ。
男相手には不適切な発言である。閉じていた瞼を開き、和葉は英章を睨み上げた。しかし、彼は堪えたふうもなく、逆に反論を寄こす。
「事実を言ってなにが悪いのかな」
「なに…」
「和葉はどこもかしこも綺麗で可愛い。でも、花屋っていう職業柄、手荒れは仕方ないからね。ハンドクリームでしっかりケアしないと」
「だから、変なことを言うな」
「別に変じゃないだろう。ちゃんと塗ってるの?」
「な?!」
直後、ぺろりと指先を舐められて硬直した。