こいぬのわるつ〜エッチなペットのしつけ方〜

こいぬのわるつ/姫野百合
姫野百合/著
葵砂良/イラスト

拾った『ポチ』は男のコ!?

森生が家の前で拾った男のコ『ポチ』は、ガンコで生意気で、森生はつい可愛がりすぎてしまい!?


[crown]ジャンル[crown]
義兄弟/ペット


[crown]ちょっと立ち読み[crown]
 まるで捨てられた子犬みたい。人恋しいのに、知らない人に甘えるのは怖くて、どうしていいのかわからないまま、ただすくみあがっている子犬。
 苦笑しながら、森生はその子供を見下ろして言った。
「おい。坊主。そこ、どいてくれないか。俺ん家なんだけど入れないだろ」
 途端に、その子供は憮然とした顔になった。
 さっき見せた気弱な表情とは裏腹の、にらむようにきつい眼差し。
 おや? 意外に威勢がいいじゃないか。
 目を瞠る森生に、その子供は、まだ声変わりも済んでない甲高い声で叫んだ。
「坊主じゃないもん。オレ、犬だもん」
「はあ?」
「おまえ、これ、読めないのかよ。日本人だろ。日本語くらいわかるだろ」
 そう言って、男の子が両手で差し出したのは、胸に下げた不細工な札。
 そこには、黒マジックのへったくそな文字で、たった一言、こう書いてあった。
『ひろってください』
 森生は足元にうずくまっている男の子をまじまじと見詰める。
 あっちこっち好き勝手に飛びはねた寝ぐせだらけの黒い髪。利かん気の強そうな丸い目。ふんわりと子供っぽいラインを描く頬も、つるん、とした腕も、すり傷だらけの足も、どこをどう見ても人間の子供だ。
 絶対に、犬の子なんかじゃない。
(ヘンな子……)
 森生は心の中でつぶやいた。
-2008/06/27-
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